「マヒ手で箸を使うは箸の練習では達成されなかった」箸の使用が上手くいかない失敗の本質的な背景とは

【①症例 概要】
脳梗塞 女性 右片麻痺
Brs:Ⅳ-Ⅴ(ブルーンストロームステージ:4~5)
上肢低緊張・空間保持が難しい
箸を使う練習で1回1回は成功するものの、翌朝まで持続せずやり直しになってしまう
【②失敗】
利き手で箸を使う練習と同じような頭の使い方をしていました。
リハビリ場面で良く見受けられるように、マヒ手で箸を使うために様々な物品をつまんで皿に移す練習です。
その中で、箸の感覚に注目をして貰い、箸のそのものの使い方ではなく、箸の先で食材の硬さや対象物の形状が分かるような箸の使い方の練習を繰り返していました。
昨日で来た箸の練習が、朝になると使えない…こんな状況が2週間くらい続きました。
【③発想の転換】
全体的に低緊張には見えるので練習を重ねればできると考えていたが、手の挙上のパターンを観察すると、(写真のように)痙性麻痺かもしれないと思うように。
痙性麻痺では、感覚運動の経験も重要であるが、同時に、動作のバリエーションをたくさん経験することも重要です。
痙性麻痺は、随意性の麻痺+姿勢制御に何かしらの問題を抱えてくると出現するため、姿勢制御を様々な形で練習するのは意義があるのではと頭を切り替えました。
様座な動作経験を経て、ついに、マヒ手で冷ややっこを箸でつまんで食べられるように!
ここまで一ヵ月を要したのです。
しかし…また朝になると箸が上手に使えず、元に戻ってしまう…
【④問題の本質】
練習では上手くいくのに、箸が上手に使えない。
痙縮の発生機序とは…
問題の裏側に潜んでいた本質的な背景とは…