亜脱臼を股関節周囲の低緊張と同様に考えてみる

イベントのお知らせ

前回の動画でも告知しているように、11月中旬に三輪書店から山田の新書「Let's ケーススタディ」が発売されます。

■三輪書店📘
Let's ケーススタディ 脳卒中リハビリテーション
~『日常生活』を視野に入れた介入の考え方〜【著】山田 稔
https://shop.miwapubl.com/products/detail/2795

書籍発売に伴い、下記イベントを開催します!

■第58回日本作業療法学会🐻
​2024年11月9日(土)~10日(日)
札幌コンベンションセンター
https://www.c-linkage.co.jp/ot58/over…https://www.c-linkage.co.jp/ot58/overview.html
※書籍ブースにて展示・販売
山田も会場入りします

■三輪書店共催セミナー(オンライン)💻
11月27日(水)19:00~
https://miwapubl-group.com/report/
※LIVE配信のみでアーカイブは残りません

亜脱臼への介入

さて、今回は本誌と共催セミナーの講義内容を少しだけ事前公開すべく、亜脱臼に対する介入の具体例として一つの考察をご紹介していきたいなと思っています。

皆さんが担当されている患者・クライアントの中に、亜脱臼の悩みを抱えている方は少なくないと思います。
個人的な見解として、股関節周囲の低緊張を亜脱臼に当てはめると、綺麗に解決するのではと最近考えています。

・前回のおさらい
筋活動:筋力と筋緊張→脳活動

・亜脱臼:
肩関節周囲の筋肉が上手く働いていない状況
不安定なので脱臼しやすい

・股関節:
肩に比べると安定性は高い
関節の脱臼はイメージされない事が多い

股関節を伸展させる筋肉は、(誤解が多いですが)大殿筋よりハムストリングスが担っている役割は多いです。臨床では「お尻の筋肉がしょぼいよねっ」とは言うものの、肩に対して「三角筋しょぼいよねっ」とは言わない気がしています。

股関節周囲の低緊張に対して一般的に僕たちが取る介入は、長下肢装具を用いて荷重をしていく練習がメインかと思います。

麻痺側上肢に荷重する

その一方で、「麻痺側上肢に荷重する」というアイディアや選択肢を我々は持っているでしょうか?

下肢に対する荷重でアイススケートを例に取ると、スケート靴の刃(エッジ)でリンクの上に立つことが可能です。

足の位置やスケート靴のエッジに対して垂直方向に荷重できるよう筋肉を調整し、関節の位置を整えてくれるから、氷の上に立つことができるわけですね⛸

筋力が十分にない幼い子供であってもリンクの上に立つ事ができるのは、「筋力」ではなく「筋緊張」によるものです。つまり、筋緊張によるバランス調整のお陰なのです。

脳が「筋緊張によるバランス調整」を上手くコントロールしてくれれば、スケート靴で氷の上に立つことができます。

これは、股関周囲の低緊張を改善するのに長下肢装具を用いるのと同じ原理であり、足部に対する全身活動が上手く調整されているかどうかが重要だという事です。

そして、一連のことは、亜脱臼にも同様に言えると思っています。

亜脱臼における手の平が足の裏だとすれば、手の平にうまく荷重できるような全身の状態が必要であり、それがうまく出力できれば、肩関節周囲の筋調整が上手にできるのではないか…というのが山田の仮説です。最近になってやっと「言語化」できるようになりました。

今日ご紹介した内容は、山田の新書でも触れています。

そして、11月27日(水)に開催される、三輪書店の共催セミナーでも詳しく解説する予定です。

共催セミナーはライブでのオンライン配信のみで、アーカイブは残しません。
ご興味のある方は、共催セミナーに是非ご参加下さいね!

動画内容・チャプター

1:12 11月27日(水)19時 三輪書店共済セミナー
1:45 亜脱臼例:一つの考察
3:04 明確な介入指針はない
3:15 亜脱臼を股関節周囲の低緊張と同様に位置付けて考えてみる
5:23 長下肢装具で荷重はするが、麻痺側上肢に荷重する発想はある?
6:38 アイススケートの例:筋緊張の調整→バランス
10:06 股関周囲の低緊張:足部に対する全身活動の調整
10:37 手の平に荷重できるような全身状態が必要
11:50 筋肉の強さではなく全身の状態が手の平に対してうまく調整されると肩関節周囲の筋肉が働く