【片麻痺者が動けないのはなぜ?被殻出血⑦】介入場面を公開!手が動きそうな感覚・麻痺側上肢に介入する理由と実践方法

今日の動画では、麻痺側上肢に介入する動画をお届けしようと思います。
ソムリエの仕事に復帰
動画に登場頂くのは、被殻出血・左肩麻痺の若い男性で、ソムリエとして働いていらした方です。
リハビリでは、ソムリエに復帰するために必要なスキルを考えてみます。
・歩行機能:
人が大勢座っている所を縫って歩ける
・上肢機能:
ワインボトルを抱えてワインをつぐ
可能であればボトル手に抱えてお客様に薦める・提供する
こうした上肢機能は獲得したいところです。
マヒ手の影響が歩行がうまくいかない
一見あまり関係ないように思われるかもしれませんが、実は麻痺手の影響で歩行がうまくいってない方は非常に多いです。
従って、先ずはマヒ手に介入し、その理由として「歩行の効率を上げる」というのを前提に置きます。
具体的な介入方法
具体的にどう介入するかに関しては、「ああ、なんだか自分の手が動きそう!」という感覚が生じるように介入します。
色々なやり方がありますが、「動きそう」と感じないものは当然動きません。
左片麻痺の方に多く見られるのが「ひたすら念力を送る」といった事です。
「動け動け動け」とずっとやっていても動かないです。
それは「あ、動くってこういう感覚だよね」というのを忘れてしまっているからではないかと考えています。
また、自主トレなど自力で解決できるかと問われると、それもまた難しい側面があります。
あくびでマヒ手が動く
以前に「リハビリ職人育成講座」のチャンネルで「あくびをするとマヒ手が動く」という内容を解説しました。
【Case File12】あくびが出るとマヒ手が動く!麻痺側上肢の潜在能力と作業療法のポテンシャルを考える
その動画に寄せられていたコメントで、『僕もあびすると手が動く。あくびの作用を利用して、自分で一生懸命あくびをしたり、あくびをした時の身体の感覚を思い出して練習したら手が動くようになった。』というのがありました。
確かに、このような方はいらっしゃいます。
なので、「あくび」の原理を利用してマヒ手が動くようにするのは100%無理とは言い切れません。
しかし、実際の臨床では、麻痺側上肢への介入を試みると、念力を送るイメージで動かそうとする方が多く存在します。
このようなケースの方は、残念なことに、手を動かす感覚を忘れてしまっています。
自らの身体感覚を見失っているので、「自分の手が動きそうだ!」という感覚を提供するのが重要なポイントです。
実際の介入場面は 3:55 から開始しますので、上記の点を中心に視聴頂ければと思います。
解説・まとめ
動画で紹介したように、とにかくずっと麻痺側を空中で動かすという介入をしています。動画の途中でテキストで詳細を解説しましたが、やっているとマヒ手は動いてきてくれます。
ご本人は「動いている」という実感が乏しく、「先生が動かしてくれている」と感じているようですが、僕の手には当事者の方の手が動き始めた感覚が伝わってきます。
そうしたサインが読み取れたら、手をそっと離してみたり、次の課題に移ったりします。
介入を通じて頭の中が整理するのを促し、マヒ手が動けそうな感覚を提供するようにしています。
この方に対する麻痺側上肢への介入場面やソムリエに復帰するまでの過程は、引き続き配信していく予定です。
動画内容・チャプター
0:19 被殻出血・左片麻痺の例
1:13 マヒ手への介入理由と実践
1:27 マヒ手の影響で歩行がうまくいかない
2:06 念力では動かない
2:49 あくびでマヒ手が動く
3:55 介入場面スタート
30:16 解説