【脳幹梗塞】 立ち座りと立位での重心移動の練習・フィードバック回路とフィードフォワード回路に欠かせない脳幹・脳幹梗塞トミーさんの自主トレNo2
シリーズでお伝えしている脳幹梗塞のトミーさんの症例ですが、自主トレをご紹介しながら、視聴者の方が困っている動作で、一体どういう所で上手く行っていないのかを解説してみようと思います。
トミーさんご自身は歩行能力があり、手もある程度動いて、お仕事も続けてらっしゃいます。ところが、脳幹梗塞の発症からある程度の年月を経ると、麻痺のせいでつま先立ちになり、踵が着かないとか、ふはぎが痛いとか、しびれが出てしまう…といった症状を訴えておられます。
脳梗塞や脳卒中は、発症した後に脳の病気そのものが進行することはないので、それに伴って身体の調子が悪くなることはありません。しかし、後遺症が残った後に「適切な運動感覚経験」を積み重ねていかないと、望ましくない感覚や望ましくない運動パターンが見についてしまい、二次的な障害として関節が硬くなったり、筋肉が硬くなったりして、慢性期や生活期における動きづらさや苦痛を生み出してしまうことがあります。
トミーさんの場合、脳幹が障害を受けた事によって、脳幹による運動調整の機能が上手く働いていないと考えることができます。一次運動野は障害されていないので、手足に随意性はあります。
前者の脳幹に障害があるため、フィードバック回路とフィードフォワード回路という機構が正常に働かず、脊髄から然るべき信号を受け取れなかったり、脳幹から小脳への連絡が適切に行われていない可能性が想定できます。
そのために、バランスを取ることが難しくなります。
広義では運動失調と言えるかもしれませんが、小脳性の運動失調とは異なります。
リハビリのカギとなるのは、感覚を入れるための「中間位のコントロール」です。
勢いを付けて「えいや!」と立ち上がるのではなく、重心移動に注力しながら、関節や筋肉をゆっくり動かし、個々の動作を区切っていくのがポイントです。
動画後半では、中間位のコントロールができるようになるための、立ち座りの練習と足を振り出す練習の2つをご紹介しています。
事前に理解して頂きたい点として、山田は直接トミーさんの身体状況を確認して評価した訳ではなく、あくまでも頂いたコメントから推察してリハビリを提案しています。
お役に立てる可能性はあるかも…と考えていますが、直接の介入やリハ指導はしていないので未知数な所はあります。
実践されたら後日感想や結果などお聞かせ下さればと思います。
動画内容・チャプター
0:30 脳幹梗塞トミーさん症例
1:16 適切な感覚運動経験
3:16 脳幹の機能
6:02 フィードバック回路(FB)
6:30 フィードフォワード回路(FF)
7:21 脳幹はフィードバック・フォワード両方受け取る
9:18 ①立ち座りの練習
10:54 注意ポイント:重心移動
13:11 脳幹の三半規管
14:08 麻痺側に身体が抜けてしまう場合
14:58 ②立位で足を振り出す練習